あらすじ:
宇宙を航行していた貨物船ノストロモ号は、謎のSOSを受信。発信源の星に着陸し、調査に向かう。が、調査に向かった乗組員は、顔に不気味な生物を貼り付けた姿で昏倒してしまう。その生物を剥がそうとするが、どうしても剥がす事が出来ない。切除しようにも、生物の体液が強力な酸だった為、不可能だったのだ。
しかししばらくすると、その生物は自然に剥がれて死に、昏睡していた乗組員も意識を取り戻した。
安心した一同だが、張り付かれていた乗組員が突然苦しみだし、その胸を突き破って、謎の生物が飛び出した!生物は、脱皮して人間の体内に寄生していたのだ......。
恐ろしい未知の異星人を、船内に放ったかたちになってしまったノストロモ号は、無事に生還できるのか......!
感想1:
非戦闘員が、宇宙船という逃げ場のない空間で、想像を絶する恐ろしさの生物と闘わなくてはならなくなる恐怖。
ノストロモ号は、輸送船。
乗組員は技術者たちばかりで、武装しておらず、エイリアンから身を守る武器も装備も、みな手作り。動体センサーさえも手作りゆえ、精度を信頼できない有様で、どうやって身を守るのか......。
その緊迫感は、何度観ても薄れる事がありません。
また、宇宙船などのセットが、今観ても全然チャチに感じられない。
とても25年前の映画とは思えませぬ。
でももしかしたらそれは、あら探ししちゃう心理的余裕をこちらに与えない、スリリングなストーリー展開の賜物なのかも知れません。
感想2:
原案は、ダン・オバノンとトナルド・シャセット。
よくもまぁ、こんな恐ろしい生物を考え付いたものです。
卵の状態なら、どんな長い期間でも生きる事が出来、近付いた生物の顔に張り付いてその体内に寄生し、やがてその胸を突き破って出て来る。
その後は脱皮しながら巨大に成長し、人間を捕食する。
人間が生存できる空気の中でも平気で生きるというのは、もしかしたら、寄生した段階で、宿主の生存環境に合わせて変化する、という事なのかも知れません。
体液が強酸となると、もしもノストロモ号が軍艦だったとしても、普通に退治する事など不可能です。船は、移動手段であると共に、宇宙空間から人間を守るものでもある為、船に損傷を与えるような事は出来ない。
と、いう事は、ノストロモ号の乗組員が判断した通り、エアロックから射出してしまうしか、助かる道はない......。
そんな凄まじい生物が、H・R・ギーガーのデザインによって、不気味で恐ろしいのに、どこか美しさを感じるものとして表現されています。
作中で、その姿がはっきり見えないのが、残念なくらいです。
このクリーチャーと同様に見応えがあるのが、それぞれのキャラクター。
特にワタシが感じ入ったのは、リプリー(シガニー・ウィーバー)の性格描写の素晴らしさ。
責任感が強く、冷静で勇敢。
調査に出かけたメンバーを、簡単に船内に入れようとしなかったシーンで、それが余すところなく表現されてる。
そんな彼女が、最後に独りになってしまった時、初めて取り乱す。
クライマックスでは、なんとお星様にお祈りする......。
このリプリーの描かれ方が、観客の焦燥感と恐怖感を、見事に煽ったと思います。
感想3:
監督リドリー・スコットは、この映画で、女が男社会に蹂躙されてる事を表現したかった、と聞いた事があります。だからエイリアンは、男性器を連想するような淫靡なデザインになったのだそうです。
そう思って観ると、エイリアンの、とにかく問答無用に殺すというところや、人間の体に穴をぶち開けるという殺害方法にも、何か含みがあるような気がします。
またこの作品での悲劇は、恐ろしいエイリアンを船内に入れてしまったところだけではなく、未知の生物は乗組員の命よりも優先して捕獲する、という極秘指令があった為でもあるのですが、その秘密を知ってしまったリプリーを、アンドロイド、アッシュ(イアン・ホルム)が口封じしようとするシーンがあります。
その方法が、丸めた雑誌を口にねじ込もうとする事。
男は、女を黙らせるには、口に......と思ってやがる、という隠喩を感じて、慄然とします。
このシーンは、子どもの時には、随分ヘンな殺し方をしようとするなぁ、と感じたのですが、大人になって観て、なるほどと納得し、凄い表現だなぁと感服しました。