短歌帖「月の竪琴」

前田月太郎の、日々心に湧き上がってきた短歌を綴ります。
歌の背景や日記、好きなクラシック音楽等のお知らせを添えることもあります。

2005年12月31日開設、2006年7月11日(満月の日)BlogMaster版短歌帖「月の竪琴」から、引越しました。

連作「兵たちの歌」

2006-12-15
今夜、東京芸術劇場で聴いたベートーヴェンの第九の前には、第一部として武満徹の合唱曲集がありました。
その最後に歌われた「死んだ男の残したものは」(作曲:武満徹、作詞:谷川俊太郎)、聴いているうちに涙が溢れてきて、日本兵たちが舞台に向かって一緒に歌っている姿が視えました。

その状況は一首では包摂し難いので、連作にしました。

武満の曲がホールに満ち渡る死んだ兵士の残したものは・・・

コーラスが次第に高揚せし時に死んだ兵たち現れ出(いで)り

兵たちは身を乗り出してステージの歌に合わせて共に歌えり

その中の一人は顔が見えたれど他は朧(おぼろ)な影としており

髭面の若き兵士は痩せおれど目を輝かせて歌い上げゆく

コーラスに兵たちの歌が溶けてゆく「他には何も残せなかった・・・」

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