正しくは「L−カルニチン」といいます。
体内の脂肪を燃焼させ、
エネルギーに変えることができる働きがあることから、注目を浴びています。
カルニチンは脂肪燃焼に不可欠な成分のため、
最近ではカルニチン配合のタブレットやゼリー飲料などが、
ドラッグストアやコンビニの棚でも見かけられるようになりましたね。
食事からとった脂肪分は、体内で「脂肪酸」に分解されると、
血管を通って細胞の中へと運ばれます。
そして、細胞1つ1つに存在する「ミトコンドリア」でエネルギーと変換されるわけですが、
脂肪酸は分子が大きいために、そのままではミトコンドリアの中に入ることができません。
カルニチンは脂肪酸と結びつくことで、脂肪酸をうまくミトコンドリアの膜に通してくれる働きがあります。
カルニチンが体内にたくさんあれば、どんどんエネルギーに変えて、
脂肪燃焼を促進させるので、ダイエット効果があるというわけ。
この仕事は、カルニチン以外の成分で代替することはできません。
カルニチンはおもに動物食物(とくに筋肉)に含まれていて、
野菜にはゼロに等しいくらい、ほとんと含まれていません。
とくにカルニチンの量が多いのが、羊肉です。
00gにつき、ラムは80〜100mg、マトンなら200mg含まれ、
下の表を見ても、ほかの肉類よりもカルニチンの量が断然多いことがわかります。
食べ物でカルニチンを積極的に摂取するなら、羊肉がいちばんということでしょう。
カルニチンの必要量ですが、1日で100mg、ダイエットをしている人は300mg摂取したいところ。
とはいっても、羊肉は肉類ですから、カロリーや脂質が低いわけではありません。
(ラムのロース・脂身つきで、脂質16.0g、カロリー227Kcal、マトンのロース・脂身つきで17.0g、236Kcal)。
たくさん食べ過ぎては、ダイエット効果の意味がありません。
だから、羊肉を野菜といっしょにとれる「ジンギスカン」が最近人気なのでしょう。
マトンならば150g(1人前ぐらい)食べれば、ダイエットに必要なカルニチン量がとれるのですから、
あとは羊肉と野菜のバランスをうまく考えて食べればよいのです。
毎日羊肉ばかりを食べるわけにはいかないので、
カルニチンのサプリメントなどでじょうずに補えれば、
コンスタントに脂肪を燃やすことができます。
CoQ10やα−リポ酸の混合タイプは相乗効果があるのでおすすめです。
カルニチンには、脂肪を燃焼させる力だけでなく、
ほかにも重要な働きをしています。
ひとつは抗酸化作用です。
筋肉の乳酸を減らす働きがあるため、だるいとき、
疲れがたまっているとき、筋肉痛があるときに、カルニチンは効果的です。
また、記憶力低下を抑制する神経伝達物質「アセチルコリン」は、カルニチンに補助されて作られます。
加齢による記憶障害の一部を回復させることもわかっています。
いろいろな働きをもたらすカルニチンですが、カルニチンが不足すれば、
脂肪酸が燃焼されず、脂肪分に逆合成されて、皮下脂肪として蓄えられてしまいます。
カルニチンは食事からも供給されますが、肝臓、脳、腎臓でも、
リジンとメチオニンに合成されています。
しかし、その合成能力は加齢とともに低下していく一方。
となれば、体の中のカルニチンの量もますます減ってしまいます。
カルニチンを効率よく働かせるには、食べ物からじょうずに摂取していくしかないのです。
さきほどお話したとおり、羊肉は脂もいっしょに摂取してしまいますから、
量を食べ過ぎてしまっても、脂肪分を過剰にダイエットにはなりません。
羊肉ばかりを食べるのではなく、ジンギスカンで野菜もたっぷりとるようにしましょう。
また、カルニチンは水溶性の成分のため、「水に溶けやすく、熱に弱い」という特徴があります。
調理過程でだんだんとカルニチンが減少していってしまうので、
カルニチンのことを考えれば、なべに置いて両面をサッと焼いたら食べるのがベター。
最近は「ラム刺し」など、羊を生で食べられるメニューも出てきています。
これならラードを使うこともなく、カルニチンの減少もないので、
お店にあればぜひ注文してみてください。
お話:岡本摩耶先生
神戸大学大学院 医学系研究科
1978年生まれ。2002年、奈良女子大学大学院博士前期課程終了。
2002年より、神戸大学院医学系研究科で研究を開始。
乳幼児突然死症候群(SIDS)を分子生物学的・疫学的観点からの解明研究に尽力。
趣味はフルート演奏。
