ヒロシマシリーズで著名な
土田ヒロミの回顧展です。デビュー作である、土俗的な日本を捉えた「俗神」。経済成長と一国総中流への奔流の中であらゆる場所に群れ集う人々を捉えた「砂を数える」。ヒロシマの被爆者・被爆地・遺品を撮った3部作。また、俗神の続編として、未だ日本に生き残っている祭りのしぐさを捉え、日本の源を探ろうとする試みである「続・俗神」。
一人の人間が日本という国家を相手にして、写真を使って、がっぷり四つに取り組んできた時間が一息に見渡せる展示で。非常に見応えがある展示でした。撮った被写体の意味を見せる為、時代に合った表現手段を探りながら、注意深く進んできた作者の歩みは、確かに日本の同時代の証言として成り立っています。この眼差しの確かさはサスガでした。
ただ、中身が充実し過ぎていて展示スペースが狭く感じました。ヒロシマシリーズは定点観測の要領で被写体を追いかけているのが判らなかったし、続・俗神についてはあれだけ迫力ある写真なのに展示スペースが狭くて点数が少なく感じました。これだけ中身が濃い写真があるならば、(費用のことはまた考えるとして)2フロア使った展示が良かったと思います。