出版社/メーカー:国書刊行会
価格:¥ 2,940
ISBN/ASIN:433604502X
Rating:★★★★★
21世紀に事故によって土星の衛星タイタンでガラス固化体となった主人公が、22世紀の技術で甦り、別の銀河系に存在する知的生命体に接触を図る為に宇宙遠征を行う、って筋です。タイタンは勿論、別の銀河など見たこともないのですが、技術的・文学的な描写が見事で、全く経験した事のない世界の中にぐいぐいと引き込まれていきます。タイトルが示すとおり、大失敗に向けて話が進んでいくのですが、なんというか、相対性理論や量子論が全て解き明かされるくらい科学が進んだとしても、人間が人間としてある限り、どうしようもないコトを繰り返していくしかないのか、と納得してします。
レムは小説を書くに当たっては、「作者自身が信じてもいない希望を与えるべきでなく、自分が心から信じている希望を作品の中で表現するべきであると思っている。作者がそういう希望を持てなくて。自分が書くものでもって現実から己と読者の目を塞ぐとすれば、その作者は文学の堕落に一役かうことになる。 中略 己の力量と知識に応じて読者に忠告を与え、彼らの希望を支えてやるべきであって、もはや希望など存在しないなどと断言してはならない」と言っています。
この言葉からするとこの小説は、レムから読者に対しての大いなる忠告、ということでしょうか。