地球において、人間以外の生物が、人間と同じような進化の過程を辿ることができたとしましょう。その時、人間はその事態に如何に対応していくのでしょう?共存する?殲滅する?それとも逆に滅ぼされる?
さて、この小説で選ばれたのは山椒魚。そいつが言葉をしゃべり、思考を始め、自らの社会を成り立たすことが出来る程の進化を遂げた時、一体どういった行動にでるのか?
山椒魚の進化過程に託して、人間の愚かしさを描いた傑作です。
オーウェルの1984年と似たところがある気がしましたが、1984年は全体主義と個人の自由を主題としているのに対して、こちらは人間文明そのものが持つ度し難いオバカさ加減を主題としている、といった差でしょうか。どちらも社会と人間そのものに対する深い洞察を基とした見事な作品でありマス。しかも、文明という難儀なテーマながら娯楽作品としても非常に高いレベルに仕上げている技量は流石で在りまして、残っていく名著とはこういう本を言うのでしょう。