鶴見和子が書いた南方熊楠論。無知な私は、明治の日本にこんなスゴイ人が和歌山の田辺に生きていた事を全く知りませんでした。筆者はこう言っております。内発的な比較の学と見なしたい。内発的というのはヨーロッパからの外来の学問の引き写しではなく、ヨーロッパ近代の学問と日本在来の学問ーヨーロッパとの接触以前に外から日本に入ってきていた、中国、朝鮮、インド等の学問をふくむーとの出会いと葛藤の過程で、自らの理論を創りあげることをいう。
第一のテーマは、大乗仏教を根幹とする、ヨーロッパとアジアとの学問の出会いと対決、統合の試みである。
第二のテーマは、南方が社会科学の中でとくに多くの仕事を遺した民族学と、自然科学の中でとくに力を入れた生物学の中の粘菌研究の関係について考える事である。
第三のテーマは、比較の学としての生物学と民族学との結合である。
第四のテーマは生態学的立場からの公害反対である。
と、始めの筋書きの一部だけ載せてみましたが、読んでいて、こんなにワクワクして読んだ本は久し振りです。南方熊楠の人生や考え方が魅力的なのは勿論ですが、筆者の解釈が簡潔で要を得ており、刺激的で面白いです。こっれは非常にお薦めする本でした。