室町幕府の衰退期から戦国時代後期に到るまでの間の、天皇の権威と政治的地位についての本です。室町後期から将軍権威が失墜していき、各地の戦国大名が勃興してくるようになります。そう、戦国時代です。戦国大名達は天皇という古代から続く権威から官位・綸旨を受領することによって、地域攻略・領地運営の正当性を主張し、己の立場の強化に利用しました。官位や綸旨が効力を持ったということは、当時の世界観の中に天皇の位置が高く置かれていたとも言えるはずです。まあ、征夷大将軍を任命できうるのが天皇ですから、天皇が存在しなければ幕府も存在しないということになりますから。戦国時代というと、なんでもありの時代で、旧来の権威は全て否定され、それが秀吉などの成り上がりを生んだ、という印象が強いですが、その秀吉からして関白という律令官位制で支配体制を構築したのです。あの信長でさえもが、将軍位につく勅許を得ていたということもあります。
なぜ、古代から天皇制度
(天皇という名称が使われたのは8世紀からで、それ以前は大王(すめらみこと)という呼称ですが)は連綿と続いているのか?各時代の日本(
これまた日本という国号がいつから使われたのか?という大問題があります)の、支配と権威、政治と祭祀、伝統、宗教観、といった様々な要素が絡んできますので、非常に難しい問題です。その一部分を知る為の格好の好著です。この本の続きの時代は岩波新書の「武家と天皇」で扱っています。