現在のドキュメンタリー写真の一般的な形である、フォト・エッセイを作った人、
W.Eugene Smithです。撮影対象に密着し、その対象の隅々まで撮影し、その写真を使って一つの物語を作っていくという手法です。スペインの村、助産婦、シュバイツァー博士、ピッツバーグ、
水俣など、古典的な名作を数多く発表しています。その作品は今なお色褪せなていません。
フォト・ストーリーの手法では、一枚の写真は撮影者や編集者の一方的な意図を伝える為の素材として存在します。(あくまで素材ですので写真の一部だけ引き伸ばすトリミングや複数のネガを使った合成写真なども彼の作品には使われています。)そして、写真を使って訴えたい物語を紡いでいきます。ただし、彼の作品が発表されていた時代は見る側に共通の土台や時代認識(西対東の冷戦構造、ファシスト対自由陣営など)がありました。しかし、市場化の推進によってあらゆるものが解体されていく今では、当時のような写真を見る人全てに共通するというような土台は存在しません。紛争や異邦探索などには、未だにこの手法は有効ですが、身の回りの日常世界に対する意識を再喚起させ、様々な問題点を提起していかなければならない現在の状況にフォト・エッセイだけで対処していくのは限界がきていると思います。一枚一枚の意味と表現の両立を深めていくことが求められています。大変だぁ。
W.Eugene Smithを記念して
ユージンスミス賞というものが設けられています。一年に一人の写真家が提出したドキュメンタリー写真の撮影計画に対して3万ドルの奨学金が支払われます。世界で最も有名な写真賞の一つです。