新国立美術館と
サントリー美術館で同時開催されているピカソ展。だいぶ前に新国立はいったんですが、本日思い立ってサントリーの方にも行ってきました。
新国立の方は、初期から終わりまで画法の移り変わりや人生の変転、社会との拘わり方を通してピカソと云う方が人生=芸術という図式そのままに生き抜いた人なんだなということが十二分に実感できました。現実の解体っぷりに唸ってみたり、何だか判らんような絵の線の勢い・描き様に感動したり、恋人の肖像画に見とれてみたり。第一次世界大戦、スペイン内戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、といった大規模な戦争が相次ぐ極端な時代だった20世紀にあって、様々な新しい表現を開拓しつつ、自分の肉体を通してその時々の社会の動きをもしっかりと絵の中に表していたんだ、ということが展示全体を見ると良く判るのが、こういう回顧展の良いところ。
で、本日見た
サントリー美術館は自画像を中心にした肖像画を集めたもの。やっぱりしょっぱなにある、青の時代に描かれた自画像。自信を持ちながらも茫洋とした未来への不安をも抱える自分の姿を鋭く捉えていて、なんか今の自分をみているようでここではしばし立ち止まりました。そして、最後にあった死ぬ前年に描いた肖像画。これには参りました。見た瞬間絵にすい寄せられ、絵の前から足を動かせなくなり、そして、目を離せなくなりました。こういう感覚は、ゴヤの牛乳売りの少女、土門拳の古寺巡礼、ヨセフ・クーデルカのEXILS、を見た時、李昴の「自伝の小説」、網野善彦の「無縁・公界・楽」を読んだ時、なんかにも同じようなものを感じました。見た時、読んだ時には自分にはとても全容は理解できないけど、とてつもなく巨大な存在に接したことだけはなんとか理解できた時の感覚とでもいいましょうか。まぁ、滅多に巡り合えない感覚であることは確かです。いやぁ、行って良かった。
眼福。眼福。